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Tunaboni Collectionsの制作情報をお知らせいたします

# ツナボニコレクションズ(Tunaboni Collections)公式ブログ

# 私の小鳥シリーズ家系図

私の小鳥シリーズサイト こちらからどうぞ

リヒトブルクの家系図をまとめてみました。
(コンラートについてはネタバレを含んでおります。今からご視聴予定の方は回避した方が無難かもしれませんので、少しスペースを空けておきます)
5つのお話はすべて独立しています。









小鳥 家系図

フルネーム
・Schwarzシュバルツ(CV河村眞人):コンラート・クラウス・フォン・デム・リヒトブルク
・Weiβヴァイス(CVテトラポット登):ルドガー・フランツ・ハインリヒ・フォン・デム・リヒトブルク
・Blauブラウ(CV天野晴):アドルフ・ヴォルフガング・フォン・デム・リヒトブルク
・Rosaローザ(CV黒井鋼):アンリ・ジェロ―デル・ベルトワーズ
・Goldゴルド(CV黒井勇):ヴィルフリート・オスカー・フォン・デム・リヒトブルク

# 「私の小鳥-Rosa(ローザ)-」発売記念ショート・ストーリー

「私の小鳥-Rosa(ローザ)-(CV黒井鋼)」(2017年10月25日発売)
公式サイトはこちら

本編が始まる直前、お宝ゲットのためにウォームアップ中のジェローデルのお話。まだ2人は出逢っていません。

「Seul Dieu sait !(神のみぞ知る)」


王宮から私邸へ続く回廊をすれ違う人々に会釈をしながら歩く。
(なんでこうやすやすと入れたものか)
いささか拍子抜けする。

まずパーティー会場への入場そのものが緩かった。
入り口で招待状(偽造)を見せただけですんなりパスしてしまう。
受け答えまで用意周到に準備してきたというのにまるで意味が無かったぞ。
(フランスの外交官補佐という設定が完全に無駄…おお)
結構な人数がいるはずなのに混雑していないのは、サロンから庭まですべてを解放しているせいだ。
形式ばったパーティーではなくかなりフランクで、逆に言うと人が散らばりすぎてお目当ての人間がどこにいるかもわかりにくいという按配。
人だかりが多い場所に見当をつけてようやく国王陛下を見つける。
が、何かが足りない。
何だろう……?と首をひねってすぐに気がついた。
(どうしてロザリオを身につけていないんだ?)

話しかけてさりげなく後ろ手で鎖を切り、落としたところをすり替える……という手段を考えてきたが……水の泡だよ。
呑気に笑う王様をまじまじと見つめる……陛下、ロザリオはどうされたのです?
威厳はあるが親しみやすそうな御仁だ。
噂には聞いていたがこのリヒトブルクという国はちょっと変わっているらしい。
この王様、ヴィルフリート公になってからグッとラフに(いい意味で)なったという。
いやいや、そんな感想を抱いている場合じゃなかった。
おそらくロザリオは私邸にあるのだろう。
先を急ごう。

奥へ奥へと進むと人の気配が急に途絶えた。
流石にというか、当たり前だが、私邸へ続く扉の前には衛兵が2人いた。
まずは第一関門。
何やらニヤついた顔で話をしているが、どうやら夜勤明けに【よからぬ場所】で遊ぶ算段のようだ。
私はゆっくり彼らに近づきにこやかに話しかける。
「ボンソワ、ジュフェデモミュ?(こんばんは、がんばってる?)」
ふたりは「色男が来たぞ」「フランスの客だな」と目配せをし合い、ぎこちない笑顔を向けてきた。
うーん。少しぐらい疑ってくれればいいのにねぇ。

まぁいいか、時間が無いし、と懐からパルファン(香水瓶)を取り出した。
「女とアソブの?コレふらんすの香水。モテルよ。つけてミル?コレをつけたらモウ……!」
と、わざとらしくカクカクと卑猥な腰つきをしてみせる。
「おーメルシーボクー!」と熱り立つ彼らは助平心が勝ちすぎだ。
これをね、こうやって……と鼻の下に塗りつけてやると、あっけなく膝から崩れ落ちてしまった。
その後、ふたりを寝心地の良さそうな植え込みの陰に移動させ、そっと声をかけた。
『ボンニュイ。いい夢を』

さあ行くぞ。
高揚する気持ちを抑え王の私室に続く廊下をひた走る。
私邸の使用人たちもパーティ会場に駆り出されているようで万事好都合。
ドアに手をかけると案の定施錠されていない……カチリ。
第二関門突破。
この瞬間がたまらない。
興奮のあまり達ッてしまいそうだ……愛しいお宝は……どこだ?

あれ。
廊下を駆けてくる音がする……誰かがここにくるのだろうか?
見つかるかどうかは神様だけがご存知だが、勿論捕まるつもりはない。
私はじっと佇み運命の瞬間を待ちわびる。

(了)

# 「私の小鳥-Blau(ブラウ)-」ミニ・ストーリー

「私の小鳥-ブラウ(Blau)-(CV天野晴)」(2017年6月28日発売)
公式サイトはこちら

アドルフの名前の由来を短いストーリー仕立てでご紹介しています。
サンプル1のシーンになります。

「アドルフ・ヴォルフガング・フォム・デム・リヒトブルク」

跪き、姫の手を堅く握りしめた私は、久しぶりにフルネームを名乗ったことに気づいた。
名乗るたびに否が応でも意識せずにはいられない。
父上がこのセカンドネームにした理由を。

ギムナジウム時代は自分の名を名乗るのは大変に気が引けた。
アドルフ=蒼き狼
ヴォルフガング=旅する狼
狼が二匹もいる。
口さがない友人には「ずいぶんと勇ましい名前だね」とよくからかわれたものだ。

瞳の色が蒼いことでついたファーストネームは分かる。
からかわれたことで疑問を抱くようになり、思い切って父に尋ねたことがある。
『旅する狼に何か意味があるのか』と。
父は笑って答えてくれなかった。

長じた今はこの名前に誇りを持っている。
「冒険を恐れるな」という意味があるのだと……私自身はそう解釈している。

目の前にいるお気の毒な姫の窮地を救う。私は今そう誓った。
(あなたを全力でお支えする。この名に恥じぬように)

(了)

※ギムナジウム…ヨーロッパの教育機関。日本の中高一貫校のようなもの

# 「私の小鳥-Weiβ(ヴァイス)-」 アフターショートストーリー

私の小鳥シリーズ「Weiβ(ヴァイス)」(2016年8月発売)のアフターショートストーリーです。
本編をお聞きになってからどうぞ。
ティザーサイトはこちら


「愛の形」
~私の小鳥-Weiβ(ヴァイス)-アフターSS


就寝前のひととき、鏡台の前でルドガーの髪を梳かすのは私の楽しみのひとつだ。
いつも無造作にしているのが気になって、手入れを申し出たところ快く了承してくれた。
光の当たり具合で、蜂蜜色にもプラチナブロンドにも変化する美しい長い髪。
こうして頭に触られるのが気持ちいいようで、くつろいでくれている。

今日は絵画学校で屋外での授業があったらしく、疲れたのかさっきから盛んにあくびをしている。
(そう言えば。最初に出逢った時もしどけない姿であくびをしていた)
思い出して笑みを浮かべていると、彼が私を見咎めた。
「こらこら、なに笑ってるのー」
「ううん、なんでもないの。……ねぇルドガー」
「ん?」
「この髪はいつから伸ばしているの?」
鏡越しに目を合わせていた彼が少し眉根をよせる。
「もしかして……毎晩こんなことするの面倒くさい?切った方がいいかな?」

まただ。彼はとてもよく気がつく。いつも先回りして考える。
自分から引くことで物事を穏便に済ませようとする彼が、我を通したのは一度だけ。
スペイン行きの船に乗ったあの日だけだ。
「いいえ切らないで。とても綺麗なんだもの……初めて見た時はなんて美しい人かと思った……」
おや、と目を見開いて、ルドガーはからかうように笑う。
「そうなの?知らなかったな。いい印象じゃなかったはずなのに」
「……ルドガーはお母さま似なのかしら」
ことさらにさりげなく尋ねた。

これは今まで踏み込まないようにしていた領域。
でも。ルドガーの芯の部分の影のようなものはきっとご両親に関係がある。
『ご両親の褥を覗いたことは?……私は何度も見たよ』
『父は私が隣のベッドにいるのに、母に嬌声を上げさせた』
あの話は本当にむごいと思った。
『こういうのはね、誰かに吐き出すだけで楽になるってもんです』
カールの言葉を思い出す。
心にためているものがあるなら……受け止めてあげたい。

後ろに立つ私の手を肩越しに取って、ルドガーが指をからませる。
「う~ん……顔立ちは母に似ているのかな。……でもこの金色の髪と青い瞳は父から譲られたものだよ」
「そうなのね」
少し逡巡した後、彼が話し始めた。
「……この髪はお城に入った頃……8歳頃から伸ばし始めた。母がそうしたがった。……間違いなく父の落とし胤だ、ということを周りに証明したかったみたい」
「………」
「いつも今みたいに母に髪を梳いてもらっていたのだけど。……そのたびに父への恨み言を聞かされた。何せ好色な人だから他にも女性がいるわけ。『城に戻るべきじゃなかった』ってよくこぼしてた……8年も経ってから戻ってこいって言われて、唯一の愛情を注がれると期待してたんだと思う」
「……お辛かったでしょうね」
「……本人も愛妾のひとりにすぎないんだけどね。……ははっ、だから私の髪を見るたび愚痴りたくなったんじゃない?」
と、茶目っ気を出して笑う。

『全部話して欲しい』の願いを彼の手をぎゅっと握ることで伝える。
そしてそれは叶えられた。
「でも……家来が私たちの部屋に来て『今夜は陛下がお渡りになる。そそうのないように』って伝令を寄越すとね、母は有頂天になって美しく装い始める。……それを見て私はすごく不思議に思った。『あんなに不平を言っていたのに』『また父上にベッドで虐められるのに』って」
ふうーとため息をついてじっと鏡に映る私を見る。
「……勿論今なら理解できるよ。ただ、あの当時は混乱したよね……」
「お母さまはお父さまを」
「うん……生きていた時も死んでからも評判の悪い父王だけれど。母は彼を愛していたんだ。きっととても深く」

私の手の甲に頬をすり寄せながら彼がつぶやく。
「愛にはいろんな形があるね。……この髪には母の父への愛憎がこもっている気がして……それでつい切るのをためらう……」
「ルドガー」
「あんな両親だけど、私は彼らのことが嫌いじゃないんだ……」
「私も。……あなたを産んでくださって感謝してる」
鏡の中の彼の青い瞳が一瞬揺らいだ。が、すぐにそれは光を宿した。
「……私が生まれたことには意味があったね。きみが望んでくれるから」

握り合っていた手が解かれ、そしてそれはそのまま彼の口元に。
薄い唇に触れた、と思う間もなく、赤い舌が覗き、ちろちろと私の指を舐めあげる。
鏡越しに私の様子を見ながら、やがて、彼は音を立ててそれをしゃぶり出す。
「ねぇ……私の……愛の形は……どう見える……?」
おいしいね、と行為の何かを思い出させるような意図的な舌遣いに、次第に立っているのも苦しくなる。

「ル、ドガー……」
私の腕をぐっと引き寄せ、身体を後ろにひねった彼が低く囁いた。
『きみの愛の形も見せてくれる?』
そして、意味深な青い目線を私とベッドに順に投げた。
私は少しかがんで、彼の唇に小さなキスを落とす。
よく気がつく恋人はそれだけで私の返事をわかってくれた。




(了)

# 「私の小鳥-Shwarz(シュバルツ)-」 アフターショートストーリー

私の小鳥シリーズ「Shwarz(シュバルツ)」(2016年7月発売)のアフターショートストーリーです。
本編をお聴きになってからどうぞ。
ティザーサイトはこちら

「あなたのすべてを知りたくて」
~私の小鳥-Shwarz(シュバルツ)-アフターSS


私にはずっと気になっていることがある。
グリューエン市にいた2年間のコンラート様のことはうすうすわかるし、今の彼については当然知っているつもりだ(一緒に生活しているのだもの)
でもそれ以前の26年間、お城にいた頃の彼のことは知らない。
(一体どんな風に過ごされていたのだろう……どんな方とおつきあいを……)
食後のお茶を飲みながら考えていると彼が私の様子に気がついた。

「どうしました?」
「あの……ずっと伺いたいと思っていたことがあって……でも、無理にということでは」
手にした書類をテーブルに置いて『話を続けるように』と彼が片眉を上げた。
「……お子様の頃のあなたのご様子とか、その後の……グリューエンにいらっしゃるまでの過ごし方とか」
「……ほう。またですね」
「?」
「あなたは私を質問責めにするのがお好きだから」
ふふ、と笑って指を組み、私を上目遣いで見つめた。
「……正直におっしゃい。本当にお知りになりたいのは私の過去の女性関係。……違いますか?」
オリーブグリーンの瞳にキラリと射抜かれて私の心臓が跳ね上がった。

「……あなたには余計な話をしましたからね。本気とも遊びともつかない付き合いをしていたとか、素直じゃない女がいいと思っていた時期もあったとか」
図星を刺されて思わず顔が赤らんだ。
「……おっしゃるとおりです。みっともないですね、ごめんなさい。聞かなかったことにしてください」
くすくす笑いながら、コンラート様はこっちにおいでというふうに、優雅な手つきで私を招く。
「……いや、全然。いい傾向ですよ。あなたは今まで『嫉妬』という感情をご存知なかったのに、私の過去が気になっているのだから」
ずいぶん遅い気づきですけどね、と言いつつ、私を抱き上げて膝に乗せる。

「馬鹿げたものばかりで、お耳に入れる必要はないと思いますが……。でもこんなことで心を痛めるのもお気の毒ですから。少しだけ、ね?」
「先の国王の時代、宮中はかなり乱れておりまして。……貴族なんてものはどこの国でもそうでしょうけど、真面目な男女の交際を軽んじる風潮がありました」
指で私の髪や耳をもてあそびながら、彼はなおも続けた。
「……誰があの女を落とせるか、なんてことはしょっちゅうしてましたよ。要するに……おふざけ、ゲームみたいなものです」
「?相手の女性が本気になったらどうなさったんですか?……少しお可哀想な気がしますが」
ふうーとため息をつきながら天井を仰ぐ彼。
次に私によこした眼差しはとても切なそうに見えた。

「軽蔑しますか?……なんとも思わなかったのですよ、私はろくでなしでした。不遇の時代があって……第五子以降の王子には教育を受けさせないという法律のせいで」
「そうだったんですか!?」
「ええ。……要するに飼い殺しですね。当時の官僚が作った悪法です。教育費というのは膨大ですから税金の節約になりますし、継承権の低い王子に余分な知恵をつけずに済む。大人しく息だけしていろということだったと思いますよ」
「……それで、無為な生活を送りました。『おまえは必要ない』と言われているようで……自分すら大切に思えなかったので、他人を大切に思うことはもっとできなかったんです」
「………」
「そのうち、そんな生活に嫌気がさして独学で勉強をし始めて。……ああでも。兄王の治世になってからは大学に通えるようになりましたよ」

知らなかった。そんなことがあったなんて。
「それで。遅まきながらやるべきことを見つけたくて学業の途中で城を飛び出した。あの2年間の生活が私を真人間に近づけてくれた……だから」
「まともになってからあなたに出逢えてよかった、と……おや。何故そんなに悲しそうなの?」
不思議がりながら私の顔を覗き込む。
「いいえ。……私は……その頃……辛い思いをされていた頃に……お力になりたかったです……」
その言葉を聞いて彼が私をまじまじと見つめる。
と、みるみるうちに痛みをこらえるような表情になった。
失礼を言ってしまったことに気づき、謝罪しようと口を開いた瞬間。

私のうなじに彼の大きな手が回り、顔を寄せられ、唇を奪われた。
歯をこじ開けられ、舌を差し込まれ、くねるその動きにただただ翻弄される。
ひとしきり私の口内を蹂躙した後、ため息をついた彼がつぶやいた。
「……そういうところが、たまらないんです……。心がね、きゅうっとなります。あなたの純粋さに……」
ぐるっと視界が半回転した、と思うまもなく上向かされた。
そのまま私を横抱きにし、立ち上がった彼はおだやかな微笑みを浮かべている。

「あ、あの……?」
「あの過去があなたに逢うための布石だったなら。……もう自分を恥じずに生きていけます。……未来永劫、私の力になってください」
「コンラート様」
迷うことなく寝室に向かう彼がそっと私の耳に囁く。
「そういうわけで。……さっそくあなたを補給させていただきます。……よろしいですね?」
(私が知っているあなたがきっとあなたのすべて)
うなずいた私の額に軽いキスをして、彼は寝室のドアを開けた。


(了)

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