Tunaboni Collectionsの制作情報をお知らせいたします

# ツナボニコレクションズ(Tunaboni Collections)公式ブログ

# 「私の小鳥-Blau(ブラウ)-」ミニ・ストーリー

「私の小鳥-ブラウ(Blau)-(CV天野晴)」(2017年6月28日発売)
公式サイトはこちら

アドルフの名前の由来を短いストーリー仕立てでご紹介しています。
サンプル1のシーンになります。

「アドルフ・ヴォルフガング・フォム・デム・リヒトブルク」

跪き、姫の手を堅く握りしめた私は、久しぶりにフルネームを名乗ったことに気づいた。
名乗るたびに否が応でも意識せずにはいられない。
父上がこのセカンドネームにした理由を。

ギムナジウム時代は自分の名を名乗るのは大変に気が引けた。
アドルフ=蒼き狼
ヴォルフガング=旅する狼
狼が二匹もいる。
口さがない友人には「ずいぶんと勇ましい名前だね」とよくからかわれたものだ。

瞳の色が蒼いことでついたファーストネームは分かる。
からかわれたことで疑問を抱くようになり、思い切って父に尋ねたことがある。
『旅する狼に何か意味があるのか』と。
父は笑って答えてくれなかった。

長じた今はこの名前に誇りを持っている。
「冒険を恐れるな」という意味があるのだと……私自身はそう解釈している。

目の前にいるお気の毒な姫の窮地を救う。私は今そう誓った。
(あなたを全力でお支えする。この名に恥じぬように)

(了)

※ギムナジウム…ヨーロッパの教育機関。日本の中高一貫校のようなもの
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# 「mariage-マリアージュ-Vol.2樋口涼編」ショートストーリー

「mariage-マリアージュ-Vol.2樋口涼編(CVテトラポット登)」(2017年5月発売)のアフターショートストーリーです。
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本編をご視聴後にどうぞ!

「ロマンチックの源流」

クライアントとの打ち合わせが思いの外早く終わってしまった。
込み入った案件だったので、勉強のために嫁を同席させていたのだが、担当者に『樋口さん、奥さん見せびらかしに来たの?』と冷やかされたのは参った。
……まぁ、完全には否定できなかったり。

平日の午後の繁華街。
「会社にまっすぐ戻ってもつまらんな。デパートを視察、そんでデパ地下でデリ買って家に直帰。ワインと一緒にやっつける。どうよ」
-朝作ってきたおかずがあります、勿体ないです
「おまえなー。たまには手を抜けよ」
歩きながら相談していた矢先にシネマコンプレックスのビルが見えてきた。
(映画デートという手もあるな)と思ったが、恋人時代同様に計画性が無いのはどんなもん?としばし迷った。
が、嫁の目が一枚の映画のポスターに釘付けなのを見て迷いが消える。

「これ、見よう」
-え、いいんですか?
「お好みど真ん中そうだし。いい感じで時間も合うみたいだし」
-涼さん、ミュージカル映画ですよ……?大丈夫?
「む?それはどういう意味かな?」
俺はおまえのひよこ口が見られればいいんだよ。
「アニメはガキの時にDVDで見た気がするんだけどイマイチ覚えてない。これ実写だろ?CGがカッコよさそう。見たい。見ようぜ」
『ホントに?』と不審げな嫁をビルの中に押し込んだ。

結論から言うと映画は俺自身も楽しめた。
パンフレットとサントラCDを嫁に買ってやり、そのまま帰途に着く。
嫁は道すがらいろいろと解説してくれた。
いわく、原作ではヒロインは一人っ子ではなく兄3人姉2人がいるということ。
お父さんは発明家ではなく商人であること。などなど。

-野獣の俳優さん、目が綺麗でしたね
電車の中、パンフをひろげながら嬉しそうに語る。
「本当にロマンチック好きだよな。何がきっかけ?」
俺の質問にうーん?と首をひねって考え込んだ。
-気がついたらそうでしたね……母の読み聞かせのせいかも
自分で読めるようになってからは原作にも手を出したとのこと。中には恐ろしい結末のお伽噺も多いらしい。

「聞いたことがあるな。グリム童話は特に残酷だとか」
-そうなんです……悪者への報復がひどい……ちょっと辛い
眉を曇らせ+悲しげに+首を横に振る。
ああ、マジで辛そう。可愛い。
『なんでこいつはこんなに表情が豊かなの?』と常々思っていたが、幼い頃の情操教育が行き届いていたせいかもしれない。
嫁のお母さんありがとう。
こんなに可愛くしてくれてありがとう。

家に着いて夕食を済ませリビングでくつろぐ。
「おいでー」
と召喚するのは例によって膝の上だ。
新しいソファは毎夜の2人分の加重に耐えられるのか?少し心配だ。
まだどこかほわほわ顔なのは、映画の余韻なのかもしれない。
なので、つついてみたくなった。
「ちなみにおまえが一番好きな童話って何?」
-う~ん……からかわれそうだから嫌だな
「いいから。言ってみ」
-嫌です
「……待てよ……たぶん……アレだ」

ドレスショップで散々悩んでたアレ。
『これは私の体型には似合わない……』と一度は立ち去り、他のものを見てはまた戻る、を繰り返していたマーメイドライン。
着るだけ着てみろ、と試着させたが俺は変には思わなかった。
ショップの人から『ピッタリにお直ししますよ』と一押しされても、らしくもなく即決を渋っていたのだが。
(ちなみにその後は『どれも全部似合うぞ!』と力説し『お願いだから黙ってて』と釘を刺されたので口を出せなくなった)
数日後、直されたドレスを試着しに行った嫁から『大丈夫かもです』とラインをもらい『良かったね』と返信した。

「……人魚姫だろ?」
-うっ!
図星だったらしい。みるみるうちに顔が赤くなる。
「人魚姫よ。おまえが私の命を助けてくれたのだね」
-涼さん、やめて、死にそう……
「なんだよ。こういうの大好きなくせに」
もういいから、とまた映画のパンフを読み始めた嫁の耳たぶは赤いままだ。
効果がありすぎるだろう。楽しいけど。

「それさ、王子に戻る前の野獣の姿もかっこいいと思う?」
俺の膝の上で身をよじり、うんうんと激しくうなずく嫁。
-むしろ野獣のままでいて欲しいんです!
「あー、女ってわっかんねぇな~!王子様がいいって言ったり野獣がいいって言ったり」
どうせならもう一押ししてやりたい。

「な」
とパンフを取り上げてテーブルに放る。
「俺、人間だけど、今から野獣になっちゃうかも」
そう囁いてぐいっと脇に手を入れ立ち上がらせる。
そして、そのまま「よいしょ」とかつぎ上げた。

俺を上から見下ろす嫁の困り顔をしばし堪能する。
やっぱり見飽きない。本当に。
-やじゅう、って……いつもよりやじゅう……?
「ガオー?野獣ナノデ、人間ノ言葉、ワカリマセーン」
美味しい獲物をしとめた俺は意気揚々と寝室へ向かった。

(了)
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# 「ファム・ファタールVol.1覚醒」アフター・ショート・ストーリー

「ファム・ファタールVol.1覚醒(CV土門熱・宝殿亭ガツ芯)」(2017年1月発売)のショート・ストーリーです。
公式サイトはこちら
こちらは加持(CV土門熱)目線のお話になります。本編ご視聴後にどうぞ!

「夏が来る前に」

とある日曜日、俺たち3人は渋谷にやってきた。
昼日中に3人で連れ立っているのは珍しい事案なわけで。これには理由があった。



「だからさ、バイト代が結構入ったんだってば。何か買ってやるって言ってんの」
心理学の授業が終わって間もなく、帰り支度をしている時に彼女に切り出した。
これは澤田への対抗心でもある。
彼女の持ち物(スポンサーは澤田)を総取り替えしてやろうという地道な野望の第一歩だ。

『加持くんがそばにいてくれるだけで嬉しいよ』と言われ有頂天になっていると、まだ教壇に残っていた澤田が『完璧な返し。さすが私の教え子』とつぶやいた。
……おっさん、聞こえてるぞ!
「あのね、もう俺のことはタラさなくていいの。本音はどーなの?」
-本心だもの……でも強いて言えば夏服が欲しいかな
「わかった。プレゼントする。俺、見たててやるよ」
俺がそう勢いこんだところに、眉間にシワをよせた澤田が小走りで近づいてきた。
「加持くん待ちなさい。きみのセンスには若干問題がある」

「は?どこに問題があんの?」
しかめ面のまま、澤田がなおも続ける。
「品性がない。破壊衝動もあるよね? 服、破くの好きだし。ああいうパンクなのは頂けない」
「……たった一度のことをいつまでもネチネチ……」
「ダメージジーンズなども論外。『私の作品』があんな服を着るなんて冗談じゃない」
出たよ、『私の作品』呼ばわり。
「今の一言でジーンズメーカーを敵に回したぞ。俺はこいつを理解してるんでご心配なく。カンッペキなコーディネイトにしてやるよ」
「この子の本質はすっかり変容してるので、そこをお忘れなく。というより。……私も加わりたいな」
「はぁーーー?」

「うん、そうしよう。私も服を見たててあげる。どちらが好みなのかはきみが決めるといい」
と、いやらしい指でおまえの顎を持ち上げる。
「触んな!顎クイッは俺の専売だから!」
「いいよね?私も混ぜて欲しい」
困った顔をしたおまえがうなずくのを見て、俺はまたもムカムカが募る。
「なんで断れないのー!?」
-先生には逆らえないよ……ごめんね。加持くんならわかってくれると思ってる……
おまえの上目使いにヤラれた俺は「お、おう……」と返事をするしかなかったのだった。



そして今、渋谷の複合商業ビルの前に3人でいるわけで。
実はここに来るまでにも一悶着あった。
どう考えても財布の中身に差がありすぎるので、俺が予算を決めたのだ。
「よんま……5万円で全身コーディネイトしよう」
「5万じゃスカーフくらいしか買えないじゃないか」
「……勝負するのは財力じゃなくてセンス!澤田さん、中にいろんなテナントが入ってるから。1時間もありゃいいだろ」
ぶつくさ言う澤田と俺を交互に見ていたおまえは「私はどうするの?」と聞いてくる。
「おまえはカフェかどこかで待ってろ。どっちかに付くと不公平だから」
-試着はしなくていいの?サイズとか大丈夫かな

「おまえのサイズは全部わかってるから」
「きみのサイズで知らないところはない」
同時に発した俺たちの言葉におまえは盛大に吹き出した。

エスカレーターに乗りながら俺はプランを練った。
(絶対に澤田は大人っぽいので攻めてくる。自分の趣味を優先するからな)
俺的テーマは【夏のお出かけ】だ。
真夏の日差しの下でも緑生い茂る高原でも生える涼やかなイメージ……とすると白がいい。
スクエアな襟元でノースリーブ、くしゅくしゅ感のあるコットンの膝丈ワンピースを見つけた。これが第一候補。
サンダルはあえてぺたんこのグラディエーターで若さと軽快さをアピール。
(やばい、予算がきつい。帽子は……無理かなぁ)
澤田とは何軒かの店ですれ違った。
ショップスタッフからアドバイスされている姿を見た。おっさんなりに努力してるようだ。

待ち合わせに指定されたカフェに向かう。
オープンテラスに座るおまえに、見知らぬ男が話しかけているのが遠目でもわかった。
『ナンパされてる?』とラインを送ると『そうみたい』と返ってくる。
……ホントーッに油断ならねぇ。
「待った?」
と、ことさら大きな声をかけ、ナンパ男を撃退する。
「よさそーなの見つけた。見てみる?」
ショップバッグを開けて中身を取り出す。
「ワンピ、とサンダル……と。こんだけじゃ胸元がさびしいからブローチ。ほんとは帽子も買いたかったんだけどね」
コットンで出来たひまわりのブローチを掌に乗せてやると『可愛い!』とおまえが相好を崩す。
これ。この顔が見たかったんだ。

ニヤついている間もなく澤田もやってきたが、どうも様子がおかしい。
テーブルの上の俺の戦利品を見て「嘘だ」とつぶやいている。
「負けたと思ったろ?」
「ちがう。見てみなさい」
同じショップバッグから取り出したのは俺がチョイスしたワンピース。
「私と加持くんのセンスが同じだなんて……なんということだ……」
靴は白いオープントウのエスパドリーユでややヒールが高めのウェッジソールだった。
(やばかった。これも候補だったんだ。ブローチが買えなくなるからやめたんだよ)
-嬉しい……ふたりが選んでくれたものが同じなんて
ふたつのワンピースを愛おしげに撫でるおまえ。

「今の俺達にはその感想は虚しいんだよ」
「全くだ。同じものがふたつあってもしょうがない。交換してこよう」
と、立ち上がりかけた澤田をおまえが引き止める。
-いいんです。両方いただきたいんです。ふたりの気持ちが嬉しいんです
本心からの言葉に澤田が愛しさをにじませた目線を送る。
……また振り出し。いつまで経っても差がつかない。終わらないデッドレース。
「あ」
ブローチ。俺にはブローチがある!これが差分だ!

「澤田さん、これだけじゃ胸元がさびしいと思わなかった?俺はこの可愛いひまわりのブローチも買ったんだよねぇ」
俺の嫌味に澤田は「そんなことはわかってる」とまた別の袋を取り出す。
「初めて100円ショップというものを覗いた。噂どおりほとんどの品が100円なんだ!あれで儲けは出るのだろうか?信じられないよ」
百均の袋から現れたのは紫色のショールだった。

「これは300円だった。安っぽい化繊だけど色合いは悪くない。ジョークのつもりで巻いてみたらいいね」
白のワンピースの上に乗せたそれは確かに300円には見えなかった。
「とても楽しい店だった。また時間を作って行ってみようと思う!キッチン用品などがふんだんにあってね、あ、文房具も変わったものがね、」
興奮気味に語り続ける澤田に、おまえの忍び笑いが止まらない。

俺はため息をつく。ホントずるいよなー。
計算高くない時のこのおっさんはなんてゆーか……ガキみたいなんだ。
おまえが言うことを聞いてやりたくなる気持ちがわかっちまう。
……まぁいいか。
歪んでるけど、この関係はそんなに悪くない(のかも)
見上げた渋谷の空は快晴で、白いワンピースを着たおまえとのわくわくする夏を予感させた。

※今回のお買い物の内訳
加持:ワンピース(29800円)+サンダル(15800円)+ブローチ(1500円)=47100円(税込50868円)
澤田:ワンピース(29800円)+エスパドリーユ(19800円)+ショール(300円)=49900円(税込53892円)

(了)
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