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Tunaboni Collectionsの制作情報をお知らせいたします

# ツナボニコレクションズ(Tunaboni Collections)公式ブログ

# 著作権侵害に関する弊社の対応と現状について

平素は弊社作品をご愛顧いただきまして誠にありがとうございます。
弊社作品の著作権侵害の情報をお知らせ頂く機会がありましたので、弊社の対応や現状についてお示しをさせて頂ければと存じます。

弊社作品の音源交換ならびに音源の違法アップロードには断固として対応していく姿勢でおります。
このジャンルの規模はとても小さく、それらの行為で今後の経営を危うくするほどの損害を被るからです。
このようなことが続くと新作を望んでおられる方々のご希望に添うのはいずれ困難になる、と危惧しております。

対応としましては、発見時に管理責任者に対して削除要請をするのが常ですが、悪質なケースにおいては弊社からの警告ならびに弁護士に委任して警告を依頼、最終的には東京地裁への訴訟状提出をお願いしております。

実情としましては、会社自体の規模が小さく違法対策に専従する部署もないため、現社員の作業量との兼ね合いで対応しております。
そのため削除までに時間がかかってしまうケースが多々あります。

このように対応が追いついていないというのが現状ですが、制作に集中できる環境にするべく対策に励んでおりますので今後ともご支援を賜れれば幸いです。


2020/12/15
合同会社ツナボニーティ駿河組

# 「心をきみに奪われている」発売記念アフターショートストーリー

公式サイトはこちら
16対9心~画像

「心をきみに奪われている」(CV:テトラポット登)のアフターストーリーです。
「アニメイト特典」の翌朝のお話ですが、お聞きになっていない方でも問題ないかと思います。
本編のネタバレは多少含んでいます。


「ごはんを食べよう」

昨夜、彼の部屋にお泊りをした。
カーテンの隙間が作る光の帯が彼の身体に落ちている。
恋人となって初めて迎える休日の朝。
「アイシテル」と格闘して疲れ果てた彼はまだすやすやと眠っている。

「ん……」
彼がごろりと動いた拍子に帯は形を変えた。
「おはよ」
「……おはよ。ずっと見てたでしょ……眼力(めぢから)が刺さったもん……」
身体を起こした彼の髪が寝癖でピョコンとはねている。可愛い。
刺してないよと口では言いながら、そのピョコンから目が離せない。うん、刺してるね。
「……天気、よさそう?」
「すごくいいよ。カーテン開けよっか」
ベッドヘッドの上に手を伸ばしカーテンを開くと光の帯は消え失せ、部屋中に日差しが溢れた。

「うわ。マジでいい天気だな。……出かける?」
「まず『アイシテル』と戦うんじゃなかったっけ?」
「っ!………覚えてたんだ………あい、し、てる…………あー……まだハズい……」
「ふふ」
「……ねぇ。結構エスっ気あるでしょ」
「ううん。言われたことないよ」
「じゃ、俺限定?」
「……かも」
「……やっぱイジメっ子だった」と言うなり押し倒される。
唇に軽くキスしてくれたので今日はここまでにしてあげよう。

身支度を一緒に整えながら朝ごはん(もう昼近いけど)をどうするかという話になった。
「モーニングを食べに行かない?名古屋発祥のカフェが近所にあるんだ」
外食が好きな彼。美味しいものが好きなのは別にいいと思う。でもエンゲル係数が高すぎる気がする。
健康にもよくなさそうだし、ナカガワラアツシ、いろいろすっぽ抜けてる。
「……私が何か作ってもいいよ」
「えっ」
「そんなに上手じゃないけど。まぁまぁ食べられるんじゃないかな」
「………でも、食材が……」
「じゃあ食材を買いに行こう。スーパーはもう開いてるよね」

すると、どういうわけかじわじわと彼の顔が赤らんでいく。
「?どうしたの」
「……いや……あのう……実は……食器も調理道具もない……」
「え?……包丁くらいあるでしょ?」
「無いよ」
「フライパン」
「無い」
「……お皿は?」
「それは1枚ある。会社の創業記念で社員全員がもらったヤツ」
「……」

元カノたちは何やってたの?と憤慨する気持ちがちらりとよぎったが、彼がやんわり拒絶したのかも、と思い直す。
イロコイと食事は混ぜないと言っていたから。
身体を重ねる人と仲を深めたくなくて手料理を拒んだことが容易に想像できてしまった。
涼しげな顔で「そんなことしなくていーよ。外に食べに行こう」と彼女の背中を押して部屋を出ていく姿が浮かんでくる。
……あ、ちょっと妬ける。
いやいや、妬かなくていいんだった。
なんせ彼はレンアイ初心者なんだから。

「なんとかするからスーパーに連れてってくれる?」
「?道具がなくてもできるの?」
「無いなりに考えてみるよ。行こう」

大型スーパーへ車を走らせている間、何を作るか頭を悩ませた。
調理道具なし。あるのは皿が一枚。高いハードルだなぁ。ナカガワラアツシめ。
お腹が空いているのを我慢させるのは可哀想だから時短で作れるものじゃないと。
とにかく外食・買い食を食事のすべてにさせたくない。
あんな過去を知ってしまったから。

スーパーに到着後、カゴの中に小さいまな板と万能包丁とラップを放り込んだ。
「へー、このスーパーって包丁も売ってたんだ」
興味津々でカゴの中を覗き込む様子がなんだか可愛い。
そして、必要最低限の食材を揃えて帰宅した。

使われたことが無さそうなキッチンの調理スペースに買ってきたものを並べる。
さあ超時短で作るぞ!
「仕事をもらえてキッチンが嬉しがってるよ」
そう言いながら青ネギを刻む私の後ろで、彼は右往左往している。
「……とうとうこの地の封印が解かれた……そうか。きみは勇者だったんだな」
「ぷっ(笑)勇者って」
「っていうか、俺も何かやりたいんだけど」
「じゃあ、そこにあるパックのご飯をチンしてくれる?やり方は表面に書いてあるから」
「了解」

私の方はというと、青ネギと大葉を刻んだものをラップに広げて揚げ玉と一緒にめんつゆであえておく。
その後、レンチンしたご飯をラップの上の具材と混ぜ合わせたら、握って適当な大きさに成形する。
海苔を巻くのはお好みで。
「……どこかで似たようなものを見たことがあるぞ」
「そう。アレだよ」
「家でも作れるんだ!?」
「うん。簡単だったでしょ」
「一個食べていい?」
「ダメー。ちゃんと座って食べよう」
駄目って言われてなんで嬉しそうなのよ。ナカガワラアツシめ。

自動車雑誌をテーブル代わりにし、おにぎりを載せた例の皿を置く。ペットボトルのお茶で乾杯。
「はぁ!?ウマすぎるんだけど!?」
一口食べて叫ぶ彼。
「お腹ぺこぺこだからだよ」
「……こんなのが家で作れるんだ。すっげぇなー」
「……あの。言っておくけど、私、そこまで料理上手じゃないからね。このおにぎりは下手に作る方が難しいの」
「いや、マジで旨いよ、フォアグラより断然旨い」
「まさか(笑)」
「……また作ってくれる?」
あたりまえでしょ、と軽くおでこを小突いてやった。イジメっ子らしく。

ご飯を食べ終わったら彼をホームセンターに誘おうかな。
涼しくなってきたからカセットコンロと土鍋を買ってお鍋をしよう(お鍋は料理の腕前も問われない!)
ぐつぐつ煮立った湯気の向こうで笑っている彼を見てみたい。
ちょっと待って。
鍋を囲むなら器やちゃんとしたテーブルも必要になるね。
私専用のマグカップも欲しいな。フライパンも買いたい。レードルもフライ返しも。
これは大仕事になるぞ。

「……ふっふっ。あのお金が役に立つ時がきたわ」
「ん?」
でも、一つだけ引っかかることがある。
「ねぇ、あの車ってたくさん荷物を運べないよね」
「?うん、ちょっと難しいね。2人乗りだから」
「……そうか……」
「何か運びたいなら車を借りようか。ワゴンでも軽トラでも伝手はいっぱいあるよ」
「ホント?じゃ次のデートの時に借りてもらっていい?」
「いいけど。何をするの?」
「えー、教えてあげなーい」
「あ、また俺をいじめようとしてるな?……じゃあ、もひとつもーらおっと」
そんなことを言いながら3つ目のおにぎりに手を伸ばす彼。

(お腹がいっぱいになったらその辺をお散歩してもいいね。淳はドライブの方がいいのかな)
(ローテーブルと椅子付きのテーブル、どっちならここに置いてもいい?)
(鍋もので好きな具材はある?スープは何味が好き?)
(次の「アイシテル」が楽しみで仕方ないよ)

言いたいことや聞きたいことが次々と浮かんできて止まらなくなってきた。
美味しそうにご飯をほおばる淳を見ながら、今の私は何から話そうか迷っている。


(了)


お気づきの方もいらっしゃると思いますが、私は食いしん坊なので食事をするシーンをよく書いてしまいます。
揚げ玉入おにぎりは「切り胡麻」「おかか」を混ぜても美味しい!(大葉と青ネギは必須じゃないかな?と思います)
淳と彼女は一緒にご飯を作って一緒に食べて一緒に笑って生きていこう。
楽しんでいただけましたら幸いです。
(かしわ)

# mariageマリアージュ-chu・chu-発売記念ショートストーリー

作品サイトはこちら

インタビュー形式のSSです。
激しいネタバレを含みますのでchu・chu本編をご視聴後にどうぞ!
marichuchu

「結婚2年目の人たち」
ここはテレビ番組の制作会社である。
あるバラエティ番組で「結婚して良かったこと・悪かったこと」をテーマに取り上げることが決まった。
インタビュア(以下IV)は街頭で、結婚している様々な年代のカップルを探し出し調査することになった。
以下は、快く取材に応じてくれた結婚2年目の2組の談話である。


(Sさんご夫婦)

IV:お互いに『この人ここが変わったなぁ』と思うことはありますか?

:んー?……特に変化は無いような気がしますが……あったかな
嫁:私も。それほど無いと思います
:……そうだ。嫁が主婦らしくなったなーと感じます
嫁:どきっ。どういうところ?
:こないだの雑貨屋がそうだったよ。店やスーパーで欲しい物のある場所を探しだすのが早くなった。何でああなった?
嫁:……え。なんでだろう……嗅覚?
:主婦の嗅覚が発達したってこと?
嫁:うん。そうかもしれない
(3人で爆笑する)

IV:お互いに直して欲しいところはありますか?

:なんだろう……無いかな。無いですね
嫁:私も無いです。じゃあ今までどおりでいいんだね。ウホホッ
:おいおい(笑)ここで言うかよ
嫁:あっ、うっかりしたっ、ここカットできますか?(慌てる)
IV:?……なんですか、それは?(今の何?)
:ああ、旧石器時代語で話すの我が家でブームなんです
IV:っ……え、旧石器……?なんておっしゃったんでしょうか
:嫁は「良かったー」って言ったと思います。合ってる?
嫁:(うなずく)
IV:……なるほどー(嫁おもしろい)

IV:結婚して良かったことは何ですか?

:……ええっと……数えきれないです
嫁:毎日が楽しいです
IV:そうなんですねぇ(具体的に!ぷりーーず!)

IV.これからのご夫婦の目標があればお聞かせください

:えー……嫁のおかげで今までやらなかったことにもチャレンジ出来てます。これからもそうできればいいかなと
嫁:主人は出張が多いので、健康面に気を配れればと思います
:ありがとうな。……そうだ。今週末からまた出張がある
嫁:そうなんだ?気をつけて行ってきてね
:うん。お土産をまた買ってくる
嫁:やったー(と動きかける)
:……踊り出すかと思った。カメラの前だからセーブしたの?
嫁:うん
:やっぱり(笑)

IV:(すごく楽しそう)……ご協力ありがとうございました!


(Vさんご夫妻)

IV:お互いに『この人ここが変わったなぁ』と思うことはありますか?

ティト:ノー。妻は交際当時から全然変わらないです
嫁:彼も変わってないですけど、『知りたいブーム』が変わってます。ちょっと前まで時代劇だったけど今は刑事ドラマだね
ティト:そうだね。駄菓子も今のブームのひとつかな
IV:いろいろな方面にご興味があると
嫁:知識欲のかたまりみたいな人なんです
ティト:僕、会社では日本オタクって呼ばれてる(笑)
(3人で爆笑する)

IV:お互いに直して欲しいところはありますか?

ティト:ワオ。(嫁に)言っていいの?
嫁:いいよ、大体わかる
ティト:キスをいつでも素直に受け入れて欲しい
嫁:(うなずく)
IV:そうなんですか?
嫁:キスの回数が多すぎて、未だにキスするタイミングが読めないというか……戸惑っちゃうんです
ティト:うん。僕もそれはわかっているけどやっぱり寂しく感じる
嫁:慣れるようにするね
ティト:シ。わかってるよ、モナムール。きみもあるでしょ?直して欲しいところ
嫁:あれかな。……予定どおりに動かなくてちょっと遅れがちな所
ティト:だよね……気をつけるようにする。きみを困らせたいわけじゃないんだ
嫁:お互い気をつけようね
IV:……いいですねぇ(『モナムール』に撃たれている)

IV:結婚して良かったことは何ですか?

ティト:良かったことは全部。きみは?
嫁:私も同じ
IV:ははは(みじかっ)

IV:これからのご夫婦の目標があればお聞かせください

ティト:そうですね。僕は国王であることが判明したので、王妃と共に国を栄えさせたいと思ってます
IV:えっ、国、ですか?(は?どゆこと?)
嫁:わかりにくくてすみません。最近ふざけてお互いのことを「王様」「王妃」と呼び合ったりするので
ティト:どうなるだろうね
嫁:ねー
IV:?えっと何を……
ティト:ノー。神様だけがご存じなんです、僕らもわからない

IV:あらー残念です(何だろうなぁ?)ご協力ありがとうございました!


(いくつかの取材が終わる)

IV:もうちょっと撮れ高いるよね。あと何組くらい必要かなぁ
カメラマン:なぁ、なんで「結婚して悪かったこと」を聞かねぇの?今回のテーマだろ
IV:良かったはともかく悪かったことは失礼すぎる。パートナーが傷つくじゃん。そっちは電話アンケートにしようってPに掛け合うわ
カメラマン:はーん……
IV:なんで?電話の方が本音が出やすいんだよ?
カメラマン:いや、そうじゃなくてさ。……イイコイイコ(IVの頭をなでる)
IV:ちょ、何すんのっ
カメラマン:イイコだから
IV:意味がわからんし。あっ、あの人たち結婚してるかな?ついてきて!(と駆け出す)
カメラマン:りょーかい(と後を追う)

(了)


マリアージュchu・chu発売になりました。楽しんでいただけましたら幸いです
(かしわ)

# 発売延期のお知らせとお詫び:CD「心をきみに奪われている」が発売延期となります

作品サイト  https://tunaboni.jp/kokoro/

       記

平素はご愛顧を賜り厚く御礼を申し上げます。

2020年6月24日(水)に発売を予定しておりました CD「心をきみに奪われている」は諸般の事情が重なったため、やむを得ず発売日を以下のように変更させて頂くこととなりました。
発売をお待ちいただいているお客様にはご迷惑をおかけいたしますことを深くお詫び申し上げます。


【変更前】2020 年 6 月 24 日(水)

【変更後】2020 年 9 月 25 日(金)

長らくお待ちいただくことになり誠に申し訳ありません。
お客様にご納得いただける製品を提供できるよう努めて参りますので、何卒ご理解くださいますよう重ねてお願い申し上げます。


合同会社ツナボニーティ駿河組
(Tunaboni Collections)

# ヴァン-私が愛したスパイ-ショート・ストーリー②

作品サイトはこちら
がるまに配信ページはこちら
ポケドラ配信ページはこちら
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トゥルーエンドのアフターストーリーです。
上坂元軍曹目線のお話になります。ネタバレを含みますのでご視聴後にどうぞ。
トラック6のちょっと前のエピソードも入っています。

「あの晩」


ヴァンの家を辞してバス停へと向かった。
庭で犬と戯れていたあの子が私の足取りを興味深そうに見つめていたので、声をかけるべきか迷った。
何歳くらいだろう。2歳に手が届くかどうかといったところか。
こうして間近に見ると目元以外の部分もあいつと似ていることがよくわかる。
懐かしさがこみあげてきた。

だが、なんと声をかければいいものか。
結局子どもなのに会釈をしてしまいキョトンとされる。朴念仁の自分が恨めしい。
しばらくじーっと私を眺めていたが、そのうち(変なおじさん)には興味を失ったらしく、再び犬に向かって小枝を投げ始めた。
転がるような笑い声を聞きながら歩きだす。

あの子には健やかに育って欲しい。
私が出来ることなら何でもすると言ったが、あの女性が自ら助けを求めるとも思えない。
こちらから声をかけていくべきだと思った。おかしなものだ。また心残りが増えてしまうとは。

バス停脇の山吹の黄色い花に小さなアリたちが群がっていた。
本当にのどかでいい場所だ。
バスの来る時間まで散策をしたいような気持ちになったが、無理をすればこの足が悲鳴を上げるだろう。
次の家に行くのが遅れては本末転倒になる。
諦めてベンチに座っていると、繰り返してきたひとつの思いがまた浮かんできた。
あいつを死に至らしめたのは私なのかもしれない、という思いがー


「あんたが俺の新しい飼い主すか」
諜報活動の指揮を取ることになり、最初に対面した時あいつが言った言葉は今でもよく覚えている。
「俺の条件は2つだけです。それさえ守ってくれればどんなことでもやります」
・仕事に取り掛かる前に報酬は前金でくれ。成功時には必ず上乗せしろ。
・軍資金(関係者への買収など潜入時に使うらしい)はケチらず渡せ

清々しいまでに金に執着するので思わず声を上げて笑ってしまった。
「?なんで笑うんすか?」
「いや、そんなに金が大事なのかと思って」
するとしごく真面目な顔になった。
「あたりまえでしょ」
すっと空気が冷えた。こいつは単なる間諜じゃない、何か信念を持っていると気づいた瞬間だった。

ヴァンは優秀だった。非情なまでに任務を遂行した。民間人を巻き込んでも平気だった。
「あれはやりすぎだ」とたしなめても「結果が全てっすよ」と言い放った。
「上坂さんは甘い。軍人に向いてねぇな」
と、私自身の本質を突かれて憤ったこともある。
だが、あいつを嫌いになることはなかった。

あの晩。
作戦会議と言いつつ中身はたわいない会話に終始した。
勿論、軍への造反の計画はあいつには話さなかった。
酔って軽口混じりで理想とは違う今の現実をこぼしていたに過ぎない。
だがあいつは悟ったのだ。
あの部隊で起きている問題の元凶が何なのか。
その存在がなくなれば物事が上手く回るだろうということを。

……ヴァン、教えてくれ。
私は何か匂わすようなことを言ったか?
なぁ、ヴァン。
おまえは何故察してしまったんだ?
何故、関係のないおまえがそれを実行しようと思ったんだ?

あの晩。
「ヴァン、いいか?日本人は本来礼節を重んじる民族である。駄目だ。今の日本人はみーんな駄目だ!」
酔ってそう繰り返す私を
「へぇ、自分が何国人かなんて考えたこともねぇな。あんた、どうでもいいことにこだわるんすね」
と、あいつはカラカラと笑い飛ばした。
その乾いた笑い方がシャクに触った。
「……そういうおまえは実は日本人だろう?本名は何ていう?」
「……絶対笑うから言わねぇ」
「笑うわけがない。親がつけてくれた大事な名前だろうに。一体誰が笑うんだ」
そう聞くと、少しためらったあとで小さな声で「ばんみつてる」と言った。
「へぇ。漢字は?」
「ひかるにかがやく。……笑っていいすよ。中身と真逆だしだいいち全然似合わねぇし」
「いい名前じゃないか。大事にしろよ、みつてるくん」
「……ちっ、言うんじゃなかった。さっさと忘れろ。ほら、その酒もう一杯くださいよ!」
「あははは」

あの晩、おまえは何を思っていたんだろう―


バスが土埃を上げながらやってきた。
のんびりとした足取りで農家の人たちが次々と降りてくる。
乗り込んだ席から窓の外を見ると、あの子を抱きかかえたあの女性が私を見て手を振っていた。
やさしげな笑顔とヴァンに似た笑顔が並んでこちらを見ている。
頭を下げて私も軽く手を振った。

走り出したバスの振動に身を委ねながら考えた。
次にここに来る時には、玩具や文房具をいろいろ用意しておこう。
朴念仁の自分が選ぶものだから気に入ってもらえるかどうか不安だが、空の上のあいつは「あんたらしいな」と笑い飛ばしてくれる気がする。
なぁヴァン、そうだろう?

(了)

自粛生活しんどいですね。早くこの事態が収束することを願っております。
こちらはお暇つぶしにでもお読みいただければ幸いです。
(かしわ)

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